家づくりの打ち合わせというと、まず「六畳の和室がひとつと、リビングは十四畳くらいで……」などと言い出す人が多いものです。これは、建売り住宅が日本に浸透してしまった悪しき慣習としか言えません。あるいはマンションの広告に毒された証拠として、すぐに「やっぱり3LDKは欲しいなあ」といったことを口にします。いわゆる「LDK思想」というやつです。こうした空間の区分けほど、本来自由であるはずの生活を縛るものはありません。出来合いの枠に人生を嵌め込むことにもなり、多くの弊害を生んでいることもたしかです。家庭内の人間関係の悪化が「LDK思想」にあると説く心理学者もいるくらいです。自分に見合った快適な生活空間をつくる。ともかくこの一点に気持ちを集中させてください。そうすれば、悪しき既成概念を捨て去ることができ、金銭的にも時間的にも人生の多くを注ぎ込むことになる生活の場を手に入れることができるのです。といって、一屑に力をこめる必要もありません。設計者が知りたい具体的項目は次のようなものです。「1ステレオでジャズを大きな音で聴く。」「2映画を大画面で見たい。」「3浴槽で長時間すごす。」「4友人をたくさん呼びたい。」「5広いテラスでガーデニングをはじめたい。」「6夫婦ともに車で通勤する。」「7子供部屋は将来独立させたい。」「8子供にピアノを習わせたい。」このように列挙していくと、思わぬフレーズが出てくるものです。夫婦のあいだでも話し合ったことのない項目が次々と出てきて驚くことさえあります。具体的記述からはじめて、徐々に抽象的な事項に移ります。抽象的といっても難しいことはありません。感覚的といいかえたほうかいいような項目です。「1暗い色より明るい色が好きだ。」「2赤系統より青系統の落ち着いた色が好きだ。」「3真四角な空間より、曲面があったほうが気持ちがいい。」「4どちらかというと、冷暖房はきらいだ。」「5照明は暖色系が好きだ。」「6間接照明がいい。」「7床は落ち着いた深い色がいい。」「8外の音に敏感だ。」どうでしょう。感覚的な好みもあげていったらきりがないほどですし、人によって千差万別だということが分かるはずです。
(参考)
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