壁と窓とはたんに対照的であるばかりではなく、互いに相補う関係にもあることがわかってくる。つまり、窓は壁にあいた穴であるから、壁がなければ窓は存在できないのだ。これは当り前すぎることのようで、実はそうでもない。喫茶店の窓辺の席に関して論じたように、窓が大きく広くなりすぎてついに壁を圧倒してしまうと、「窓らしく」なくなってしまうからだ。言い替えれば「窓らしい窓」というものは「壁らしい壁」に支えられてはじめて存在するものなのだ。
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では逆に、窓がなければ壁は存在できないか、と言えば、盲壁というものもあるから、論理的にはそうは言えない。しかし、壁際の魅力はその部屋の開口部との対比によって生じるものであることを考えると、やはり「壁らしい壁」というものは「窓らしい窓」に支えられなければならないのだ、とは言えそうである。窓のまったくない部屋では、壁がむしろ圧迫感の原因になるだろう。