価格や加工のしやすさだけでは語れない価値

2011.10.21

家を建てたり、リフォームするときは、使用する建材や接着剤、防腐剤などの素性をしつこく確認することだ。少々、値は張っても、合板ではなく、ムクの木材を使うほうがいい。家族の幸せのために建てた家が、家族の健康をむしばむようでは意味がない。私は自分自身がコンクリート打ちっぱなしの家を建て、後になって大いに後悔した。壁からセメントの白粉が吹き出すような家では、思いきり深呼吸することもできなかった。宇宙船か潜水艦のなかで、かぎられた酸素を吸って暮らしているようなものだった。

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だから、数年後に箱根の山荘を建てるときは、ムクの木材だけを使った。すべて天然素材にした。その山荘にいると、ほんとうに気分がいい。木の家の何よりの魅力は、深呼吸ができることだと実感した。ムクの檜板に触れてみたことがおありだろうか。白木のままの檜は、いつでもしっとりとぬれた感じがする。暖かくて、やわらかくて、やさしい。100年も前に伐られた本であっても、今なお湿気を吸い込んだり、吐き出したり、呼吸しているようだ。このようにムクの木材は室内の湿度調節装置でもある。天然の材料には、価格や加工のしやすさだけでは語れない価値がある。